全国地域生活定着支援センター協議会は、矯正施設を退所した高齢・障がい者の社会復帰と再犯防止を支援し、全国のセーフティーネットの構築に邁進します。

刑の一部執行猶予制度:受け皿不十分

新聞記事

刑の一部執行猶予制度:受け皿不十分

「刑の一部執行猶予」制度 社会の受け皿不十分 開始から半年、県内2人適用 /長崎という1月20日付の記事です。元はこちら以下転載。

受刑期間の一部を猶予し、社会の中で更生を促す「刑の一部執行猶予」制度が昨年6月に始まって、半年が過ぎた。最高裁によると、制度を適用した判決を受けたのは全国で868人(昨年11月末現在)。県内でも2人に適用された。再犯率が高い薬物依存者の更生などにつながると期待される一方で、更生を支える社会での受け皿は十分とはいえない。【今野悠貴】

 「被告人を懲役2年10月に処す。うち6月について保護観察付き執行猶予2年に処す」。長崎地裁で昨年10月末、覚せい剤取締法違反(使用)に問われた男(42)に、県内で初めて一部執行猶予を適用した判決が言い渡された。男は今後、刑務所で2年4カ月間を過ごす。出所後、保護観察を受けながら2年間罪を犯さなければ、残り6カ月間の刑期は免れる。

 ◆薬物事件

高い再犯率
 制度導入の背景には薬物事件での再犯率の高さがある。警察庁の統計によると、2015年に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された人の65%が再犯。実際に昨年11月末までに制度が適用された868人のうち、覚せい剤取締法違反事件が787人と9割を占める。

 制度の効果を占う鍵となるのが保護観察制度だ。薬物事件で制度が適用されると、猶予期間中は保護観察所の監督を受けながら社会復帰を目指す「保護観察」を受ける。期間は最長で5年に及び、国は腰を据えて薬物からの離脱を促す更生プログラムを作成した。長崎保護観察所の林正秀統括保護観察官は「社会復帰へのソフトランディングにつながる」と効果に期待する。

 ◆保護観察制度

担い手不足
 だが、深刻なのは担い手不足。保護観察の対象者は急増するとみられるが、専門的知識を持つ保護観察官は県内で10人。1人で数十人を担当している状態で、林さんは「人員に余裕はなく、保護観察は保護司に頼っているのが現状」と話す。

 その保護司も全国的に減少傾向にある。県内でも年々減少し、現在は819人。定員(890人)割れが続く。従来、定年退職し保護司になる人が多かったが、04年からは76歳以上を再任しない定年制度が始まった。働く高齢者も増え、担い手が不足している。

 ◆薬物依存対応

専門施設なし
 受刑者の中には刑務所を出ても帰る家がない人がいる。薬物依存から抜け出すには、受け入れ先となる法務省認可の更生保護施設での対策も重要になる。法務省は今年度、全国103の同施設のうち、薬物離脱に重点的に取り組む施設を15から25に拡充。だが、長崎、佐世保、雲仙各市にある県内3施設は、いずれも薬物依存に専門的対応はしていない。

 社会福祉法人南高愛隣会が運営する雲仙市の更生保護施設「雲仙・虹」は行き場のない高齢者や知的障害者らを積極的に受け入れてきたが、前田康弘施設長は「人手が慢性的に不足し、現状で手いっぱい」と明かす。専門的な医療機関などとの連携が必要になる薬物依存者の重点施設になるのは難しいという。

 ◆更生の重要性

社会と接点
 今後は制度の適用を受けた受刑者が次々と出所し、執行猶予期間に入る。制度が再犯防止につながるか。刑事政策が専門の長崎総合科学大の柴田守准教授は「社会が更生を目指す出所者との接点を保つことが重要。私たち市民も更生を目指す人とどう向き合っていくのか考えなくてはいけない」と話す。

 ■ことば

刑の一部執行猶予制度
 薬物使用者や初めて実刑を受ける人などが対象。3年以下の懲役・禁錮刑の判決を言い渡す場合に、刑期の一部を1~5年の範囲で猶予する。これまでは刑務所に収容する実刑か、一定期間罪を犯さなければ収容しない執行猶予しか選べなかったが、双方を組み合わせる。覚醒剤使用などの薬物法での受刑者は、執行猶予期間中に必ず保護観察がつく。

Copyright 毎日新聞

コメント



認証コード6545

コメントは管理者の承認後に表示されます。

powered by Quick Homepage Maker 4.9
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional