全国地域生活定着支援センター協議会は、矯正施設を退所した高齢・障がい者の社会復帰と再犯防止を支援し、全国のセーフティーネットの構築に邁進します。

47都道府県のセンター紹介

矯正施設を退所した高齢・障がい者の社会復帰と全国のセーフティネットの構築に向けて

一般社団法人 全国地域生活定着支援センター協議会(全定協)

2017-04-21 (金) 07:14:09

47都道府県のセンターの取り組み

各センターの取り組みは、新聞記事でも度々紹介されています。画面右の上方「検索」からか、全定協ブログから検索してください。

山口県地域生活定着支援センターの取り組み(H25年度)

【山口県地域生活定着支援センターの概要】
山口県では、社会福祉法人山口県社会福祉協議会が山口県地域生活定着支援センター(以下、山口県定着)を開所して、今年(平成24年時点)で4年目を迎えます。

山口県定着は、開所から平成25年3月末日までの支援総数は92人、その内、保護観察所からの依頼によるコーディネート業務対象者は40人です。

地域生活定着支援センターが行う業務は、県域レベルで進めていく事業であり、社会福祉を目的とする様々な種別団体や事業者、地域への理解や協力が必要となりますので、個別支援に関する業務に加え、関係する機関・団体の長が集まって協議をする連絡会議や啓発事業(図1)を積極的に行っています。

山口定着 図1

また、支援の対象とする人は、年齢も幅広く、様々な障害や事情を抱えておられることから、支援方針について、より幅広い専門的見地から検討及び評価を加えることを目的に、福祉サービス等調整計画検討委員会を設置しています。

この委員会には、社会福祉士会や臨床心理士会等の職能団体や行政機関の方に出席いただき、2ヵ月に1回の事例検討に加え、適宜支援方針等について助言や意見をもらっています。

その他の取り組みとしては、被疑者・被告人への支援の仕組みのあり方について弁護士会等と勉強会を重ねたり、関係機関の主催する会議等に参加して、関連する団体等と定期的に連携を深めるよう心がけています。

■ 新しい取り組み
山口県定着では、試行的に勉強会的機能を持ったカンファレンスを開催しています。

取り組みのきっかけとなった事例の少年(以下Aさん)は、これまで人生でトラウマティックな体験をしており、矯正施設退所後は、知っている人がいる出身県ではなく、一度も行ったことがない山口県で暮らすことを望んでいました。

Aさんの事例

【帰住に向けて】
Aさんの帰住先の決定にあたっては、出身県からも情報収集し関係者でよく協議を行いましたが、Aさんの強い意向を一番に尊重し、山口県で調整を行うことになりました。

支援を行うことが決まった後は、依頼元定着や保護観察所、矯正施設と協力をして、面談や施設見学を行うとともに、出身県の行政やこれまでAさんに関わっていた相談支援事業所等に積極的に情報収集を行いました。

その後、Aさんに関する情報を元に、山口県B市にある相談支援事業所の協力を得ながら支援を進め、最終的にB市内にあるケアホームへ入所することが決まりました。

【山口県での生活】
Aさんが仮退院となり、B市での生活が始まりました。しかし、すべてが順調に進んでいるわけではありません。例えば、これまでの生育環境によって培われた反社会的行動や支援者への試し行動、作話や他利用者との関係が作りにくい等、今も様々な社会への適応のしづらさを抱え、頻繁に大小の出来事が起こっています。

一方で、当初「これまでの人生で楽しかったことはない」と語っていたAさんの表情は、以前よりずいぶん明るくなり、今ではよく笑顔も見られるようになりました。こうした良い変化は、調子が良い時も悪い時も、何度も根気強く関わり続けてくれる支援者の熱意の賜物だと感じています。

【定着の役割と本人の課題】
一般的に地域生活定着支援センターの役割としては、矯正施設退所後に対象者が地域へ戻られ、様々な手続き等がひと段落した後は、地域の支援者に徐々に役割を引継ぎ、定期的な訪問等により支援者や対象者に対してフォローアップを行っていくことになります。

しかし、Aさんの場合は、社会性が低いことや放火、窃盗という犯罪行為を繰り返していること、B市に拠りどころとなる人も場所も少ないこと等、Aさんにとっても、受け入れるB市の福祉関係者にとっても不安や課題は多く、Aさんの生活が落ち着いていくまでにはかなり長い時間が必要となることが予想されました。

【課題の解決に向けて】
こうしたことを踏まえ、山口県定着として何ができるか、福祉サービス等調整計画検討委員会において十分に検討し、直接的な支援ということだけではなく、Aさんを支える地域に対してどのような支援ができるかについて協議を行いました。

その後、本人に中心的に関わっている相談支援事業所等にも相談し、定期的なカンファレンスを開催していくことを確認し、その調整を山口県定着が行っていくことで、Aさんを中心としたB市の福祉関係者のネットワークに対して継続的に支援をしていくことを約束しました。

また、カンファレンスには、福祉サービス等調整計画検討委員会の委員長でもある司法福祉に精通した学識経験者にも参加していただくことが叶い、その折々でAさんの支援について助言をいただくことができるようになりました。

カンファレンスは、原則3ヶ月に1度のペースで開催していますが、臨機応変に時期を調整し、必要な関係者に参加いただいています。

参加者の例

カンファレンスの準備として、各関係者から前回のカンファレンス以降の支援の状況を事前に提出いただきます。また、今回のカンファレンスで協議したいポイントを確認し、それらを山口県定着で取りまとめておきます。

カンファレンスでは、始めに各関係者から、前回のカンファレンス以降の支援状況について説明をいただき、全体で情報を共有、今回のカンファレンスで検討するポイントを確認します。

協議では、参加者相互に意見交換をしますが、学識経験者(助言者)からも各関係者の報告や検討するポイントに関連して、Aさんが行った行為の意味の解釈や関わり方等の助言をいただいている他、これまでの経験を踏まえて、今後起こりうるリスクやリスクに対して今から関係者が何をどのように準備しておく必要があるかについてもレクチャーいただいています。

【カンファレンスの成果と変化】
カンファレンスの成果として感じていることは、Aさんの行為一つ一つを掘り下げて検討することで、“触法者のAさん”ではなく、“一人の生きづらさを抱えた青年であるAさん”として、理解を深めていくことが出来てきていることです。

また、Aさんの行為や起こす出来事を、関係者が振り返りながら一つずつ受け止めていくことは、出来事に直面した支援者にとって大変なことではありますが、同時に乗り越えた自信につながっている面もあり、さらに関係者同士でそうした思いを共有することで絆の深まりや安心感につながっているように感じています。

コンフェレンスの様子

Aさんの活動の広がりとともに、カンファレンスの参加者は変化していますが、回数を重ねていく中で、参加者からよい勉強の機会になっているとの評価をいただくようになりました。

こうした評価や参加者からの提案もあり、平成25年度からは直接Aさんに関わっている支援者以外の方であっても、今後Aさんの支援に関わってもらう必要性のある方や興味を持たれている専門職の方の参加についても、個人情報に配慮しながら可能な限りで参加いただけるよう試行的な取り組みを始めることにしました。

こうした転換により、このカンファレンスが地域の中でより一層、勉強会的な機能に変化してきているのではないかと思っています。

25年4月

様々な生きづらさを感じた人は何も矯正施設退所者に限られたことではありません。カンファレンスの開催を通じて、どのような生活を送ってきた方でも、基本的には地域の関係者によるネットワークで支援していくことが基本であり、それを支えるための取り組みは大切なことだと改めて感じています。

今はB市で行っている取り組みではありますが、今後は、それぞれの地域にある自立支援協議会等と連携しながら、少しずつでも地域の支える力を高めていくことができればいいなと思っています。

参加者の声

【まとめ】
罪を犯した高齢者・障害者の支援に当たっては、個人の問題だけではなく、これまでの生育歴や環境にも着目して進めていく必要があります。

そのため、特別調整対象者の帰住先の調整に当たっては、矯正施設、保護観察所、受入れ先の地域の方等、多くの方の協力が必要であり、地域生活定着支援センターは「つなぐ機能」を発揮していくことが必要だと考えています。

■ おわりに
罪を犯した高齢者、障害者のみならず、様々な生活のしづらさを抱えた人が地域で暮らしていくためにはその人を支える負担が一極集中するのではなく、多くの支援者が加わったネットワークで、みんなで負担を負いあいながら支えていくことが大切だと思います。

そうした事を様々な地域で進めていくことができるよう、これからも山口県定着として頑張っていきたいと思っています。

千葉県地域生活定着支援センターの取り組み(H28年度)

千葉県地域生活定着支援センターから平成28年度の報告です。ダウンロードでご覧ください。実績報告書
支援内訳

千葉県地域生活定着支援センターの取り組み(H27年度)

千葉県地域生活定着支援センターから平成27年度の報告です。ダウンロードでご覧ください。

千葉県地域生活定着支援センターの取り組み(H26年度)

千葉県センターでは、独自の「千葉モデル」の構築をめざし、司法と福祉が早い段階で連携し、福祉による支援体制を作っています。平成26年度の実践報告をご覧ください。

千葉県地域生活定着支援センター近況報告(H26/05/27)

司法福祉千葉モデル勉強会

罪を犯した障害者や高齢者が被疑者・被告人の段階で障害等による不利益が生じることがないように、弁護士を中心とする司法関係者と福祉専門職が事例を持ち寄って議論しています。この勉強会は、2012年9月にスタートして、月1回のペースで今年5月までに19回続けてきました。

定着支援センターが関わりグループホーム等に入居した累犯障害者・高齢者が、放置自転車を乗り回した、他人の敷地内に侵入した等で逮捕された時も、支援者同士の顔が見える関係ができているので、弁護士による早めの対応で釈放され、再び刑務所へ戻ることなく地域生活を開始することができました。

<参加者>
千葉定着May2014 2千葉定着

*その他守秘義務を守れる司法と福祉の専門職で構成されています。

事例検討では、家庭環境の問題や障害の見えにくさからくる困難、それに対する支援の実際と課題、そして、どんな支援が考えられるかなど毎回盛りだくさんの意見交換をしています。

少しずつではありますが、福祉側が被疑者・被告人段階で面接をしたり更生支援計画を作成したり証人として出ている例や、出所後行政との交渉に弁護士に同行をお願いしている例など、実際に司法と福祉が連携している情報の共有も行っています。

3千葉定着

◇5月20日(19回)◇

発達障害がある人たちを理解するための講座と、発達障害者の事例検討を行いました。

講座:「発達障害がある人たちを理解するために」
講師:千葉県発達障害者支援センター センター長 與那嶺泰雄氏

4千葉定着

 発達障害とは
 自閉症スペクトラム
 発達障害の障害特性
 独特な情報の処理
 独特な考え方・捉え方
 独特な行動スタイル
 特徴的なこと
 相談での留意点

講義の内容は、障害特性や特性に伴う独特な考え方や捉え方や、独特の行動スタイルや考え方についてたくさんの例を挙げながら説明がされました。そして、その特性に見合った接し方についてのお話もあり、非常に腑に落ちる内容でした。

その後の事例検討では、罪を犯した知的障害と発達障害が疑われるケースについて報告がされました。議論の中で、アセスメントではWISCの中身について見ると、より本人の生活のしづらさが見えてくるのではないか。また、家族以外からの情報を収集する必要性についての提案もありました。

◇今後の勉強会◇

5千葉定着

勉強会では事例検討が毎回行われており、事例から得られる論点は実践を支えるものとなっていることから、これまでかかわった事例についてまとめ、今年度内に事例集として発行することになりました。

◇予告◇

◆2014 千葉県地域生活定着支援センター啓発研修

  • 10月31日(金)
  • 定員140名
  • 実践報告:触法高齢者や障害者を受け入れた施設の実践報告
           ~パネルディスカッション~
  • 講演: 山口県立大学 社会福祉学部 水藤昌彦氏
       「高齢・障がいのある犯罪行為者の理解と対応」

◆第3回罪を犯した障害者・高齢者を支援する支援者養成研修

  • 平成24年度から開催している連続研修(全6回) 
  • 定員25名
  • 7月に矯正施設の視察(今年度は府中刑務所)、矯正側職員と参加者との意見交換
  • 7月以降の毎月ごとの講師は、保護観察官、弁護士、矯正施設職員、矯正施設を出所した当事者、受け入れた施設の職員、定着支援センターなど。

千葉県地域生活定着支援センターの取り組み(H25年度)

千葉県地域定着支援センター

触法障がい者をどのように支援するかの課題の存在  

私たちは、近年増加傾向にある「触法障がい者をどのように支援したらよいか」という課題を抱えつつ日々の仕事をしています。矯正施設入所中から受刑者に関わり、面接をとおして本人が何を望んでいるのか探り、退所後は、本人が自立できるように働きかけ、支援をフェイドアウトしていけるように、個々に合わせたより良い支援を模索しています。

一方、障がい者が法に触れる行為をした場合、取り調べや裁判の段階で本人の障害等による不利益が生じないようにするための支援も必要となります。そのような課題を解決する取り組みとして、司法と福祉が連携し情報交換する場として司法と福祉の連携に関する「千葉モデル」勉強会を発足し、月1回の開催を継続しています。

新聞記事2014年1月

司法と福祉の連携に関する「千葉モデル」勉強会発足 

千葉定着
9月からスタートし、その後メーリングリストの参加を呼びかけた結果、参加者が増え、定例の勉強会では毎回自己紹介が必要となっています。

研修会「触法障がい者の弁護と支援」を開催

今回、勉強会で研修を企画し、2月5日に千葉県弁護士会と千葉県地域生活定着支援センターの共催で、「触法障がい者の弁護と支援」と題して研修会を開催しました。社会福祉士の原田和明氏と弁護士の大石剛一郎氏の講演と、勉強会メンバーの遠藤直也弁護士による事例報告が行われました。

原田和明氏

社会福祉士の原田氏は、「刑事司法分野における弁護士と福祉専門職の連携」という演題で、

① 刑務所の入口で防ぐ必要性
② 支援チームによる対応
③ 裁判支援と地域の支援の連携
④ 罪を犯してしまわないための環境や地域づくり
⑤ 被害者の権利擁護と障がい者や生活支障のある加害者の権利擁護の必要性

について話を進め、弁護士と福祉専門職との連携の重要性を指摘し、理想は逮捕から受刑、出所後も含めた一貫した支援と、罪を犯さないための環境整備も大切と訴えました。

大石剛一郎氏

大石剛一郎弁護士は、「触法障がい者をめぐる新たな試みと今後の展望」という演題で、

① 以前、少年事件や当番弁護士活動、国選事件をし、知的障害や発達障害の事件にかかわった経験から得られた犯罪の傾向
② 特に意思表示・判断について支援を要する障がい者の犯罪の問題
③ 新たな試み、今後の展望

についての話があり、障がい者ごとの特徴を把握することを、活動で心がけていることとして挙げています。また、取り調べの初期段階から可視化などの必要性も強調していました。

遠藤直也氏

遠藤直也弁護士の事例報告では、30代男性の傷害事件について紹介し、男性が釈放された後も生活保護申請などに同行した例をあげながら、

① 知的障がいの有無をスクリーニングする良い方法はありますか?
② 接見の時に感じた「違和感」を証拠化する方法は?
③ 捜査機関の取り調べ・調書作成に対してどのような対応をすべきか?
④ 捜査機関に障害の存在を注意喚起する方法は?
⑤ 事件終結後の支援はだれが担うのか?

について話があり、事件の入口でかかわった弁護士が、その後も支援を引き継いでいく仕組みが必要と訴えていました。

冬のあとは春

~研修会を終えて~
この研修会は参加申し込みが多数あり、会場の関係で定員を超えた方にはお断りをしなければならなくなり、関心の高さが伺えました。100名を超える参加者からは、

・事例を交えた講演でわかりやすく、障がい者に対する支援の実際を知ることができ大変勉強になりました。
・刑事司法に福祉専門職がどのように関与し活動をしているか知ることができました。
・本人の自立や権利擁護など同じ視点の共有により、弁護士と福祉支援者と協働できることは多いと感じました。
・判決後の被告人に対してどのように対応するべきか考えさせられました。
・障がい者に対する正しい理解がいかに大事かを改めて考えさせられました。

など、障がい者支援のあり方について、理解を深められた、というような感想が多数寄せられていました。支援する私たちも、また、明日からいい仕事をしていこうと気持ちを新たにした研修会でした。

その人らしい生活

その人らしい生活を

私たちは、これまでコーディネート業務としては、39ケースに関わってきました。そのほとんどは、人とのつながりを得て、生活を展開しています。矯正施設を退所した後、それぞれが、その人らしい生活を始めている3例を紹介します。

彼

① 身体障がい者施設に入所して生活しています。
援護実施機関の調整と入所施設での受け入れを依頼しました。生活保護申請、障害基礎年金再支給の手続きをし、経済的な基盤作りをしました。日中は、みんなが使うタオルやエプロンをたたんで役割を果たしています。

彼女

② 知的障がい者グループホームから、日中は就労継続支援事業所に通っています。生活保護受給。療育手帳がなかったので、生育歴をたどりながら手帳の申請をし、取得することが出来ました。障害基礎年金は申請中です。調理の経験を活かして、毎日ランチメニューを調理しています。包丁さばきから、豊富な経験が伺えます。

彼女

③ 高齢者住居と透析が出来る病院をセットで探し、自立準備ホームに住所を設定しました。身体障害者手帳と生活保護申請をして生活基盤を築きました。現在はアパートに住み、日中は大好きな手芸をして過ごしています。

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